2009年07月07日

『ガリレオの苦悩』 東野圭吾

4163276203ガリレオの苦悩
東野 圭吾
文藝春秋 2008-10-23

by G-Tools
物理学者湯川の「ガリレオ」シリーズの最新短編集。ドラマシリーズに触発されたのか、ドラマ内キャラであった内海薫刑事が、今回から小説にも登場です。内海刑事、小説版湯川がそれほど大人げなくないので、けっこう可愛がられているように見えます。あ、でも、却ってフラグが立たないとか。うーん。

ともあれ、5編の短編の内、2編はドラマ化済み。残り3編はいつも通り、面白かったです。最後の「悪魔の手」の話は、犯人の動機があまりに幼稚に思えますが、こういう自己愛過剰な輩が、うんざりするほど現実の事件にも出張っている現在、ありそうな話、かもしれない。
posted by 波多利郎 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

『ヱヴァンゲリヲン:破』

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 - goo 映画
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 - goo 映画
観てきました。うーん、スゲヱ。
これは、何が何でも「急」を観ずにはいられなくなりました。

きょーのひはさよーなーらー、またーあーうーひまでー。
(つい歌ってしまうのだった)
posted by 波多利郎 at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月28日

『ゴーストハント』11巻 発売予定

『ゴーストハント』11巻 8月6日発売予定出ました。

まだ最終巻ではなさそうです。無事に出ますように。
posted by 波多利郎 at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | Comic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月27日

『七王国の玉座』 G.R.R.マーティン

415208457X七王国の玉座〈上〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))
George R.R. Martin 岡部 宏之
早川書房 2002-11

by G-Tools
4152084588七王国の玉座〈下〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))
George R.R. Martin 岡部 宏之
早川書房 2002-11

by G-Tools
全世界的ヒットを飛ばしている大長編ファンタジーシリーズ、「氷と炎の歌」。『七王国の玉座』は、その第一章です。

さて、第一章ながら、ハードカバーにして上下巻。文庫にして5冊分となる、かなりのボリューム。文庫版で読み始めたのですが、1冊毎に巻末付録として、主王家の系譜や登場人物説明といった資料が、かなりの分量で収録されています。正直、読む前には、この累々たる人物名鑑を全部マスターしなければならんのかとビビりつつも、もし退屈なら途中脱落する気満々だったのですが、実際は退屈している暇はありませんでした。おそらく誰でも、文庫の1巻目の後半あたりまでたどり着きさえすれば、あとはこの延々と続く、長大な物語にすっぽり身をゆだね、行き着くところまで転がっていく快感を味わえることと思います。

さて、舞台となるウェスタロス大陸では、かつて、「ドラゴン王家」と呼ばれた強大な征服王朝が存在したが、王朝は暴虐な「狂王」に対する諸侯の反乱によって滅亡した。その後、反乱諸侯の1人、ロバート・パラシオンが王位に就いたことで、王国は諸侯連合体の形で維持されたまま、十数年が過ぎた。

基本的には、中世的異世界の架空王朝の王位を巡る陰謀と、各勢力の興亡を描いた一大群像劇。ファンタジーとしては今の所、剣9:魔法1な感じです。
群像劇たる所以は、その構成にあります。物語の全体は、ごく短い章の連なりによって構成されており、それぞれの章には1人ずつ、視点となる人物が設定されています。大陸の各地で起こっている出来事が、その場にいる視点人物によってミニマムに語られながらも、その集合による全体像が複層的に織り上げられて行く様は圧巻です。

この第一章において、視点となるのはまず、最も主人公に近いと思われる、北の諸侯スターク家の人々。当主のスターク公とその妻。2人の間の嫡出子である3人の息子と2人の娘。プラス、スターク公の庶出の息子。
その一方で、彼等と全く接点がないながら、主大陸から離れた別天地で進行していく、滅亡王朝の生き残りである、王女デーナリスとその兄の物語。

冒頭のスターク家のシーンは、今読み返すと、『指輪物語』の冒頭のホビット庄のシーンのようで、なんだかしみじみ懐かしい気がします。この先彼等は、陰謀に巻き込まれ、親子、兄弟が引き裂かれ、それぞれに状況が過酷になっていく一方なのですが、それでもここまでのところは、ほんの序盤の駒配置が終わったところに過ぎないのでした。つるかめつるかめ。

もっとも、その平和な序盤にすら、この世界が内包する過酷さは容赦なく描かれています。作品世界は、中世的ゴシックな価値観にとことん忠実であるため、現代的ヒューマニズムやラノベ的ご都合主義など入り込む隙もないくらいに、マッチョで厳めしい重苦しさに支配されています。
そこは原則として血統主義であり、誰の子であるか、それも正式な結婚による嫡出子であるかが、何よりも重視される。庶出の子は父親が誰であれ、十人並みの扱いを受けるのが普通だし、基本的に聡明な女性であっても、夫の庶子は公然と嫌悪するし冷遇する。またある者は、王妃の弟でありながら、侏儒という外見のために、周囲から「小鬼」と呼ばれ侮られる。

名誉と誇りという建前の裏で繰り広げられる、野蛮な仁義無きパワーゲーム。その徹底した理不尽さが、慣れると癖になります。
posted by 波多利郎 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月26日

『ふたつのスピカ』15巻 柳沼 行

4840125767ふたつのスピカ 15 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
柳沼 行
メディアファクトリー 2009-06-23

by G-Tools
1年3ヶ月ぶりの最新刊。いつもなら半年間隔で発行されるところなのに、妙に遅いといぶかしく思っていたら、このたびのNHKドラマ化でした。やっぱりというか、なんだかなあ。

ドラマは、分かりやすくベタなスポコンなので、金のかかった原作布教PVだと思えば良し。下手に、原作に近づけようなどという野望を持たれても困ります。と、いうかこの繊細な世界は、おそらく他のどんなメディアにも移し替えるのは無理かと思います。(とはいえ、ライオンさんの不在と、アスミちゃんの性格のキツさは、ちょっとなあ)

おかげでなんだかんだと、最初から読み直してしまい、既刊分で10回はほろりときて、最新刊でとどめのボロ泣きをいたしました。なんてったって、主人公らの入学試験から始まった物語が、紆余曲折の末に、ついに卒業となったもので。万感胸に迫るのは、仕方がないってなものでしょう。

次巻はついに最終巻とのこと。おそらくそれをもって、心の定位置に保管しておく名作に加えていいかと思います。ありがとうございました。
posted by 波多利郎 at 16:27| Comment(2) | TrackBack(3) | Comic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月12日

マンガなど

更新サボってます。すっかりネタは古くなりましたが、マンガの話など。

とりぱん 7 (ワイドKCモーニング)とりぱん 7 (ワイドKCモーニング)
とりの なん子

by G-Tools
シニカルで平和な日常。人生かくありたい。

Under the Rose 6―春の賛歌 (バーズコミックスデラックス)Under the Rose 6―春の賛歌 (バーズコミックスデラックス)
船戸 明里

by G-Tools
1年ぶりの最新刊は、前巻より断然、書店で普通に手に入るようになってうれしい。エロ控えめで萌え増量中なのに、それと別に唐突なヤバい急展開。オンライン雑誌の次回配布が待ち遠しいです。


栗本薫氏がお亡くなりになりました。いろいろありましたが。特にここ数年の氏のネット上の言動を見聞きするにつけ、思うところはいろいろありましたが、ご冥福をお祈りいたします。

実は更新が遅れているのは、ある大長編ファンタジー小説にハマってしまったからです。ジョージ・R.R. マーティンの『氷と炎の歌』シリーズがそれ。続く
posted by 波多利郎 at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | Comic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月26日

『獣の奏者』 上橋菜穂子

4062137003獣の奏者 I 闘蛇編
上橋 菜穂子
講談社 2006-11-21

by G-Tools
4062137011獣の奏者 II 王獣編
上橋 菜穂子
講談社 2006-11-21

by G-Tools
『守り人シリーズ』の上橋さんの別世界の物語。ずっと気にはなっていたのですが、上橋ファンタジーは時々、本当に救いがないことがあるので、これはどうかと思って様子見していました。それが今年の1月より、NHKでアニメ化され、現在放送中。せっかくなので、アニメの先の楽しみを削がないように、原作は読まないでおこうとか思っていたのですが…。

我慢できませんでした。読んじゃった…。

さて、舞台となるリョザ神王国は、真王と、真王を守護するという名目の下に強大な軍事力を持つ大公によって治められた国。大公の軍は、「闘蛇」と呼ばれる竜に似た獣によって組織されており、闘蛇の育成は国防に関わる重要事項であった。
主人公エリンの生まれた村は、大公の闘蛇を育成しており、母は闘蛇の医術師であった。が、ある日育成中の闘蛇が大量に死んだことから、母はその責任を問われて処刑されてしまう。1人生き延びたエリンは、やがて母と同じ獣の医術師を目指しながらも、人と獣のあるべき姿を模索していくが…。

母とエリンが、王国の支配の外にあって畏怖されている「霧の民」の出身であることから、村で孤立していたとか、庶民が権力と関わるとロクなことにならないとか、上橋さんのシビアなものの見方は相変わらずです。掟や権力や、様々なものが、人と獣の生き方を拘束していく現実。獣があるがままに自由に美しくあることは罪なのか。世界は秩序に歪められずには維持できないのか。己の生命力の限りに問いかける、エリンのまっすぐな生き方がストレートに感動的でした。

原作が駆け足である分、アニメはこれまでのところをじっくりと描写しており、この先の佳境に差し掛かった物語をいかにふくらませてくれるかも、また楽しみになってまいりました。ただ、一つだけ、あの王獣の造形は原作に忠実ではあるが、生物としてはやはり、不自然な気がするんですけど。
posted by 波多利郎 at 09:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月25日

阿修羅展

いつ行こうかと思っている内に、日程も終わりに近づいてきたので、21日に思い立って、1人で行って参りました。

覚悟はしていたものの、平日午後で入場までに60分待ち。整理券配るとかではなく、ベタに会場前に並びます。実質、50分くらいで何とか入場。まあ、入れさえすれば、心ゆくまで会場内にいられるので、一瞬、朝早く来て終日いればよかった、と後悔したりして。こりゃ、混みますわな。ちなみに、マスクは必需品だと思います。

ともかくも、一直線に目当てのご本尊に向かい、対面致しました。暗闇の中にくっきりとライトアップされた阿修羅像は、興福寺のガラスケースにおわした時とはまた別物の美しさでした。もっともその周囲は、人が3重4重に取り囲んでいて、その列は会場職員の方に促されても、ぴくりとも動かない。近くで見たい人は、気迫でその人垣に突進していくしかない。いやあ、スペクタクルです。

とりあえず、人垣をかいくぐって、3分だけ正面の最前列で対面できたし、遠くからは360度いろいろなアングルで見られたし。思い残すことはございません。ああ、眼福。もう、当分はこういうイベントはないことでしょう。

阿修羅王様、今度はまた、奈良でお会い致しましょう。
posted by 波多利郎 at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月24日

『メディエータ』

4652077572ゴースト、好きになっちゃった
メグ・キャボット
理論社 2005-04

by G-Tools
4087604403メディエーター―霊能者の祈り (集英社文庫)
Jenny Carroll 布施 由紀子
集英社 2003-07

by G-Tools
幽霊が見える「メディエータ(霊能者)」体質の少女と、美形幽霊の恋物語。アメリカのラノベ界では、『トワイライト』と並ぶ人気シリーズと聞いたので、読んでみました。

主人公スザンナ(スーズ)は、生まれつき幽霊が見えて、話せてさわれる、という「メディエータ」の才能がある少女。それ自体はあまり、ありがたいことではなく、霊からみのトラブルに巻き込まれることも多いが、前向きなスザンナは、霊の訴えに耳を傾け、成仏(キリスト教的には何でしょう?)に手を貸してやるのを、どこか自分の使命のように思っていた。

そんなスザンナの現実はというと。母親が再婚したため、継父とその連れ子の3兄弟と暮らしているが、この男連中のマッチョでがさつなデリカシーのなさには、どうもなじめない。学校やバイト先で声をかけてくる男の子がいないわけではないけど。それでもスザンナの日常で大きなウェイトを占めていたのは、自宅の古い部屋に棲みついている、美青年の幽霊。スザンナは150年前に死んだ青年、ジェシーに熱烈に片思いしていた。

理論社版は正直、これ本当に第1作?と思いながら読んでいました。ジェシーの存在も、スザンナとの出会いも、彼女の恋心も、通り一遍に説明されただけで、読者にはすべて既知のこととして扱われていたようなので。おかげで、ジェシーは美形設定と少し古風な台詞回し以外に、さほど印象に残らないままで、なんでスザンナがここまでジェシーに執着しているのか、分からずじまいでした。なんといっても、こういった特殊なラブストーリーで、2人のなれそめが、華麗にスルーされることって、ふつー無いだろーと思ったのですが。

調べたらやはり、「ジェニー・キャロル」名義で、これ以前に何作か先行する話があったらしい。集英社文庫版の『メディエーター 〜霊能者の祈り』がそれです。内容は、後に『メディエータZERO』として同じ理論社レーベルでシリーズ化されたものと同じとのこと。が、大方の読者はやはり、メグ・ギャボット名義での第一作から読むのでしょう。よくみんなあれで、ついていけると思います。

さて、『トワイライト』と同じく、主人公の一人称で語られる物語。ただ、理論社版のスザンナはどうもベラほど感情移入できなかったし、心理描写も細やかには程遠く、期待はずれ気味でした。が、その後読んでみた、集英社文庫版の第一作の方は、意外や思った以上に面白かったです。これってもしかして、訳者の差もあるのでしょうか。スザンナとジェシーの出会いと、ジェシーのナイトぶりが細やかに描かれていました。これなら女子的に満足できると思う。

と、いうわけで、この先、理論社版の『〜ZERO』シリーズの方を、読み進めようかと思うところですが、この訳者の文体で大丈夫かなー。ちょっと心配です。
posted by 波多利郎 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月15日

『タルト・タタンの夢』 近藤史恵

4488012280タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)
近藤 史恵
東京創元社 2007-10

by G-Tools
「パ・マル」は、厨房2人とソムリエと、サービスの僕の4人で切り回す、小さなフレンチ・レストラン。そんなをパ・マルを舞台にした小さな謎を解く、コージー・ミステリーです。

殊更、切れ者の探偵役を置くわけでも、謎謎言い立てるわけでもないものの、人々が行きかう中でふと引っかかったささやかなWhy?と、それに対する鮮やかなBecause。どれも、無理のないエピソードでありながら、ちゃんとミステリー的に満足いくものになっていて、楽しめました。フランス料理についても、専門用語にはさりげなく解説が入っていたりして、分かりやすいです。

なにより、この店の、お客さんの顔の見えるアットホームな雰囲気と、飾り気ない、しかしストレートに美味しそうな料理の数々が良かった。近くにあったら行ってみたいと思わされます。できれば、ヴァン・ショーと胃に優しい系のメニューを希望。店の人たちも、なかなか個性的で魅力ですが、難を言えば、その分主人公の「僕」が無個性だったかも。

似たようなテーマを扱ったミステリーで、上田早有里の『ショコラティエの勲章』を読みましたが、こちらはやや、蘊蓄が勝っていて、読者に対する用語等の説明が足りなところがあった気がします。更に言えば、職人のプロ意識がとんがっていて、どこか気楽に読めないところがありました。作風の違いだなあ。
posted by 波多利郎 at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする